
突風の合間にガチガチに凍った斜面でポーズ先日、紀伊国屋の新書コーナーを眺めていたら、とてもショッキングな言葉に目が釘づけになった。それが今回の記事タイトルの「スマホ首病が日本を滅ぼす!」。ワニブックスの新書だった。
じつは興味を持ったのには訳があった。
2016年の年末、積雪時の富士に登った際のこと。登山記録用に常に持参しているスマホをちょこちょことのぞき込むのだが、あいにくの快晴に加え積雪の独立峰だから四方八方から痛いほどの日差しが襲いかかるので、スマホ画面がまったく見えない。
思いっきりうつむいて、手で囲ってみるものの、画面を判別するのは至難の業。そんなことを繰り返しているとき“グキッ・・・”と首に痛みが走った・・・
もともとの読書好きに加えて、仕事ではほとんどをノートパソコンの前に座り、移動中は情報収集や連絡業務にスマホを眺める、という日々だった。

12月初頭、下界は紅葉、7合より上は突風で雪がカチカチに凍った氷結世界

夏場がウソのように誰もいない山頂では突風が不気味な音をたてているそのせいかもしれないが、肩から首にかけて常に凝っていてつらかった。この状態で毎週末は登山やクライミングに出かけ、帰宅すると足腰よりも、ザックの重さを担った両肩がパンパンに張っていた。
そういえば学生時代の山岳部の縦走では、つねにうつむきだった。
50キロほどの背負子を背にして、一歩また一歩と前に出し続ける自分の足元と、ぽたぽたと垂れる汗が乾いた登山道に点々とつける染みだけを眺め続けていた。ピークでは景色を楽しむ余裕もなく、ザックを下ろして喘いでいた。
これとは対照的だったのがクライミングで、登るときはもちろん、セカンドでトップを確保するときなどは首が痛くなるほどひたすら上を見続けていた。
とにもかくにも、社会人となって、スマホにパソコン、読書など、思えば下向きの日々を過ごし、2016年の年末に仲間と二人で富士山を目指し、その途中で首の筋を痛めてしまったのだ。痛くて痛くて、帰宅して調べてみると「ぎっくり首」とかいうもののようだった。
その後、痛みはひいたものの、頭痛を始めとするいくつかの症状が出るようになってしまった。その症状とは頭痛、縦に回るようなめまい、動悸、手足の冷え、不眠・・・などなど。なんだかよくわからず、病院で診てもらうも、とくに悪いところはないとの診断で、薬だけ処方された。
症状は時期的に増減するものの消えることはなく、病院に行ってもムダかなと思いすぐに行くことはあきらめていた。そして1年以上が経過した2018年3月末。黒部の山賊がボロボロになったので新品を買おうと向かった新宿の紀伊国屋で偶然目にしたのがこの「スマホ首病が日本を滅ぼす」という新書だった。
ページをめくってみると、驚くことに自分の症状がそのまま書かれているではないか。まるで自分のことが書かれているいるような気持になり、思わず買ってしまった。
さて本によると、首の後ろには副交感神経センターという部分があり、首のコリによって頸椎に影響し、その結果「迷走神経」と呼ばれる副交感神経が異常をきたして様々な症状を発症する、というものだ。
主な症状はとしては、頭痛、めまい、更年期障害、うつ、慢性疲労、多汗症、不眠症、自律神経失調症、パニック障害、機能性胃腸症、過敏性腸症候群、血圧不安定症、動悸、冷えのぼせ、いらいら、食欲不振、まぶしさ・・・などなど
放っておき、さらに悪化すると「頚性(けいせい)うつ」と呼ばれる、いわゆるウツ病になってしまう。
いま電車を見回すと、誰もかれもが下を見てスマホに没頭している。そういえば今年の1月だったか、米国の10代の若者の自殺志向とうつ傾向が3割以上もアップしたこととスマホの利用時間とが密接に関係するというショッキングなレポートを受け、アップル社の大株主がアップル社にスマホ依存の改善を突き付けた。そしてアップル社は大株主のこの要求を承諾したというニュースが世界を駆け巡った。
日本のウツ病や自殺願望の増加も、もしかしたら下向きによるスマホ首が大きな要因になっているのかもしれないなと感じ、なるべく上を向こうと心がけている。
坂本九も「上を向いて歩こう」を歌っていたじゃないか。人生は短い、上を向いて歩いていきたいものです。
そうそう、治療ですが、クリニックでの検査の際に頸動脈にプラークが発見され、脳梗塞のリスクになるので経過観察しましょうということになりました。首こりの治療は始まったばかりですが、ほんとうに丁寧でにこやかで、十分すぎるほど説明してくれる先生が担当になり「3か月ほどで多くの人はほとんどの症状に改善が見込まれていますよ」とのこと。
治療は紹介された治療院で頸部に低周波をあてるもの。SSP、トプラーという2種類を使うもので、これは割と一般的な装置なので、地元の治療院でもできそうだと思い、近所の治療院に相談したところ治療可能。ということで、週2ペースで近所の治療院で低周波治療をおこない、かなり楽に。
これからは首をいたわりながら末永く山を楽しもうと思う。
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