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Zetterlund
Author: Zetterlund
クラブネイチャー管理人です。犬を連れ、キャンプを愉しみながら、ハイキングやクライミング、沢登りを楽しんでいます。仕事はコピーライター、プランナー、PR。
都内から房総に移住し、4年後に山恋しくて今は丹沢の山並み見える神奈川にUターン。
山と音楽と本があればシアワセ。

メールは下記まで
info.clubnature#gmail.com
(メールの際は#を@に入れ替え)

【好きな山】
甲斐駒ケ岳、秋田駒ヶ岳、水晶岳、北岳、烏帽子岳(乳頭山)、丹沢山

【好きな曲/アーティスト】
・マーラー/ベートーベン
・チャイコフスキー
・ラフマニノフ
・アンネ ゾフィー・ムター
・松田聖子
・ジョニー ウィンター/プリンス
・ウラディーミル・アシュケナージ
・アンドラーシュ・シフ
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クラブネイチャーは、山とシンプルキャンプスタイルのためのアウトドアBlog

黒部源流 赤木沢 北アで一番美しい渓

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埋蔵金伝説のある富山県・有峰湖の東に位置する折立登山口からおよそ4時間。
ブナの森の中の九十九折れの急登に汗を滴らせながら至ったのは、雄大な北ノ俣岳など黒部源流の山々を背景にした赤い屋根の太郎平小屋だった。

ここから薬師岳の裾野にある薬師峠のテント場にテントはじめ、マット、シュラフ、コッヘル、ストーブ、酒、食料、着替えなどをデポ。ザックにはロープ、アルパインクイックドロー、ハンマーなどのギア類と靴、最小限の着替え・靴下、水、行動食、など8キロほど。その軽くなったザックを背に太郎平小屋から黒部の源流に向けて薬師沢に沿って登山道を下りはじめた。

余談だけれど、現在極限までのUL化は図っていないので、今後長期ハイクなどの際には積極的にUL化して、身軽になった装備で野山を歩き回りたいと思っている。通常は訓練のつもりで通常装備を使用。
※ULAのザック、CDTは海外通販済ですけれど(笑

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黒部源流・赤木沢のギア類
1キロ近くあるエイドキットが結構重いが、これまでの経験から
毎回、その時々に必要なアイテムをチョイスして持参するようにしている。
またGPSがあろうと、アナログコンパスは必ず持参している
<関連記事:エマージェンシーキット>

前日までの豪雨のせいで、登山道のあちこちには水が溜まっており、池塘が豊かな水をたたえている。それでも森の中に入れば、ムンとした暑気が立ち込めていて、どっと汗が噴き出した。豪雨明けのこの日、北アルプスは夏真っ盛りだった。

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かべっけヶ原の木道で眠る仲間

前夜、夜中に折立に通じる有料道路のゲートに到着するも、やぶ蚊が多くて車の窓を開けて仮眠できなかったため、途中、黒部の山賊の舞台となった「かべっけヶ原」を通る木道で眠気に襲われ、しばし昼寝をする。うとうとしながら、まさか化け物のせいじゃないよなぁ、なんて思うも、たちまち30分ほど眠ってしまった。蝉の鳴き声と風に揺れる葉づれの音に包まれて、気持ちよく眠れた。

今夜の宿、薬師沢の山小屋に着いたのは16時。20年ぶりの再訪だった。もちろん黒部へは度々訪れていたけれど、それらは薬師沢小屋をスルーして、黒部川の河原でビバークをしていた。もちろん現在ではビバークは禁止になっている。ともあれ20年前の夏休み、結婚したばかりだったボクは奥さんを引き連れてここに泊まり、黒部川を黒部源流まで辿り、そこから雲ノ平まで山旅を楽しんだ。黒部源流に向かう途中、左岸から実に美しい沢が流れ込んでいた。それが、北アでいちばん美しいと言われる赤木沢だった。以来、何度か黒部の源流に足を運んだけれど、気になる赤木沢には入らずじまいだった。
■薬師沢小屋MAP(国土地理院)

【薬師沢小屋関連記事】
清流に祝福された夢のトレイルの大好きな山小屋
【昔たどった黒部源流の画像】
山旅キャンプ-2 黒部源流へバックパッキング
■雲ノ平 北ア・バックパッキングと沢旅の風景

さて、薬師沢小屋で夕食までの1時間、目の前の黒部川で汗を流し、さっぱりさせた。黒部川に面したテラスで登山者を引き連れて沢登りをするというガイドと話すと、前日までの豪雨のため水量が多く、彼は翌日の沢登りは中止するつもりだという。この夜、受付の電話を何気なく聞いていると、翌日の赤木沢のツアーや沢登りグループのキャンセルの連絡が立て続けに入っていた。

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薬師沢小屋のハイカーズベッド上段より

その夜、夕食をそそくさと済ませると、二段になったハイカーズベットの上段に布団を敷き、横になった。夜半、屋根や窓を激しく叩く雨音に目覚めた。翌朝はまだ雨だった。6時に食堂に入ると山ガール6名と同じテーブルで、かしましい彼女たちと山の話で盛り上がりながらの楽しい朝食になった。

雲ノ平に向かうという彼女たちの話をひととおり聞いた後、「どちらまで?」と聞かれ「赤木沢です」と答える。彼女たちは目を見合わせて「?」というような表情。あれ?知らないのかな、と思ったとき仲間が「目の前の黒部川を1時間ほどさかのぼって、その途中に流れ込んでくる綺麗な沢を登るんですよ」と朗らかに言った。その言葉に山ガールたちは、この沢を登るんですか、と目を丸くして、そして笑いあった。

6時半にもなると朝食を済ませた登山者たちが暗い空を見上げながら雨具を着込み、橋を渡って雲ノ平方面へと次々と出発する。テラスの階段を下りて黒部川を遡上する沢登りの人は皆無だった。旅立つ登山者の背を眺めながら、雨脚が弱くなるのを様子見しつつ、不安そうに空を見上げている仲間に「水量はどうなのかな・・・」と声をかけると「増水してたら思いっきり高巻いて突破するしかないよね」と笑った。もちろん、ひとたび雷雨で増水したらいっきに水かさが増す上、逃げ場のまったくない黒部・赤木沢に入るので、複数のケースを想定してエスケープできそうな尾根の位置と対応策は頭に叩き込んでいた。

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どうせずぶ濡れになる沢登りだから、雨は問題ない。問題なのは水量と水温。冷たい黒部川に負けないようにファイントラックのドライレイヤーの上に厚手の沢用の長シャツなどを着こみ、ハーネスにギア類をガチャガチャと準備していた。足元はネオプレンソックスの上にお気に入りのウォーターテニー。仲間の足元はガイドテニー。これ一足で、アプローチから沢登り、下山までのすべてをカバーしてくれる。

ちょうど後ろでハーネスを装着しているカップルが居たので話しかけると、彼らは薬師沢で薬師峠のテント場横に出て、太郎平小屋経由で帰るのだと言う。なかなか面白そうなルートなので、いつか釣りをしながら薬師沢を辿ってみたい。もしかしたら薬師峠のテント場から薬師沢で薬師沢小屋まで辿るのも暑い夏の涼しい山旅になるに違いない、と思った。

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結局、小屋を後にしたのは雨脚が弱まった8時少し前だった。暗い曇天の中、水量多めの黒部川を遡行すると、やがてゴルジュが次々と姿を見せる。以前に比べ明らかに水かさは膨れていた。痺れるほど冷たい青い水の中、腰から胸まで水に入りながら岸壁をヘツリ、時には高巻きしながら先を目指す。一度、左岸をヘツって突破しようとして水流に負けて流されてしまった。冷たい水に手が動かなくなってしまい、岩をつかめずに本流に入ってしまうという時、仲間がザックをつかんで引き寄せてくれて助かった。仕方なく、少し下で右岸に渡渉し、その岩の上を微妙なバランスで突破した。

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赤木沢出合い。
ここから右側の赤木沢に入る。

その直後、ナイアガラという川幅いっぱいの滝が見えた。やはり水量は多いが、美しさは変わらない。

ナイアガラを越えると幅いっぱいの滝の向こうにエメラルドに輝く天国のようなトロ場が見えた。赤木沢が黒部川に合流する赤木沢出合いだ。これまでは赤木沢に目もくれずに黒部を源流の稜線まで詰めあげていたが、今回はここで黒部川とお別れして、赤木沢へと入る。すると、それまで暗くしと降っていた雨が急に止み、陽が差し始めたではないか。なんという幸運。まぶしい朝日に赤木沢がキラキラと輝きだす。それはもう夢のような光景だった。何度も立ち止まり、振り返り、スゲー、スゲーと口々に言葉を交わす。こんなに美しい沢は初めてだった。

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赤木沢に入って直後の滝

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清流が滑るように流れる赤木沢

出会いの滝を越え、北ノ俣岳へと続く稜線をバックに明るく輝くナメ滝、ナメ滝、階段状の滝・・・滝壺を泳ぎ、どこでも自由なラインで直登が楽しめる。空は完全な青空になり、山から山を渡って北アの稜線の匂いを含んだ夏風が、沢面を気持ちよく吹き抜ける。じりじりとした日差しに、パートナーは水流中を歓声をあげながら直登する。なんて美しくて、楽しいんだろう。「赤木沢を体験せずに、山をやめるなかれ」だ。

念のためとブレードハーケンとハンマー、8環やアルパインクイックドロー、シュリンゲなどを腰にしてはいるが、きっと使うことはないだろう。

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滝のひとつひとつを愛でるように登る

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滝の彼方には北アならではの、のびやかな稜線が見える

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北アの沢はステルスソールと相性抜群

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四段ノ滝、長い淵を持つドーム状の滝など、次々と開放的な滝を登り、やがて赤木沢大滝に出る。しばし眺め、少し下から左岸(右手側)から泥と岩の混じった垂直に近いミックス地帯をフリーで登る。滑ったらアウトなので慎重にルートを選んで登る。以前、この高巻きでは何件か墜落死亡事故も起きている。泥交じりの垂壁を50mほど登ったところで灌木をホールドにさらに登り、トラバースし、大滝の落ち口を越えたあたりでクライムダウン。この大滝の落ち口の上にトラバースする箇所にはホールド的なものが全くない。過去の墜落事故は、たぶんここだろう。

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赤木沢大滝
写真の右手の岩場(リッジ)から快適に高巻きできそうだった
次回来たら、このリッジを使おうと思っている

そこから赤木沢はますます優しく美しくなる。ゆるやかな傾斜の、まるで滑り台のようなナメ滝が、これでもかと言わんばかりに稜線まで続いている。最初の二股を左に入り、ナメを快適に辿っていたところ、うす曇りだった空が急に掻き曇り突然の雨となり、おまけに雷も鳴りだした。このエリアでは日常茶飯事だが、大滝を越えたあとで本当に良かった。しかし叩きつけるような、目もあけていられない激しい雷雨に、勘を頼りに登るしかない。

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大滝からは穏やかなナメが稜線まで続く

足元の涸れ沢にたちまち茶色い濁流が流れ始めた。そのうち真っ白に煙る激しい雨の中、這松地帯に入ってしまったため、ルートミスが発覚。次々と枝分かれするが故に「尾根の下りと沢の登りには気をつけろ」という言葉があるが、この時、あまりの豪雨に何でもない枝沢が中俣乗越への分岐ルートに見えてしまい、目的の稜線を逸れてしまったらしい。それに気づき、すぐに引き返した。実はお花畑へのインパクトを最小限にしたかったので、涸れ沢の小石の道が稜線まで続く中俣乗越を目指していたのだったが、それが裏目に出てしまった。

ルートを15分ほど引き返すと、北ノ俣岳方面の稜線が見え出した。横にはお花畑の斜面が稜線まで続いているのが見えた。濁流洗う涸れ沢から這松を乗り越えてお花畑の斜面に出た。この雷雨で、ところどころの細い涸沢を水が勢いよく流れ落ちている。

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藪漕ぎ無しで、お花畑から稜線の登山道に飛び出す。笑顔の仲間。

まだ雷鳴が聞こえるので、稜線の下で20分ほど待機していると、雷雲が離れ聞こえなくなった。ここで、おにぎりとドライフルーツでカロリー補給を済ませ、稜線に続く雨上りのお花畑を歩き出す。冷える沢では1時間に体重の二倍のKcalを消費するので、1時間におにぎり換算で1個(130kcal)相当を食べるようにしている。歩き出すと、お花畑のあちこちにできた無数の池塘から水が流れだし、それがお花畑の斜面で合わさって涸れた沢に流れ込んでいた。そのほど近い場所にはこちらを注視する雷鳥親子の姿があった。

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北ノ俣岳に続く稜線をたどる

ここから長い稜線歩きがはじまる。以前歩いたときは、稜線から槍など名画のような景色を楽んだのだが、今回は沸き立つ雲に隠されてしまっている。天気は相変わらず不安定で、やがて再び風雨が激しくなった。ボクらは、どうせ濡れるのならと、沢装備のまま稜線を歩く。北ノ俣岳に16時。太郎平小屋経由の薬師峠のテント場にヘロヘロになって着いたのは17時半だった。大滝を越えてから、雷雨と風雨に思うようにペースがあがらず、ルートミスや雷の退避行動などで想定よりも2時間近くタイムロスしてしまった。

雨の中、ジフィーズの白米にレトルトカレーの夕食をそそくさと済ませると、そのまま酒も飲まずにシュラフに潜り込み、朝まで熟睡。翌朝は抜けるような青空だった。思わず窮屈なテントから出て思いっきり深呼吸。ボクらは笑顔で目くばせすると、残った行動食を水で流し込み、朝方まで降り続いた雨に濡れたテントを撤収。雲一つないまぶしい青空の下、7時前に折立の登山口に向かって薬師峠のテント場を後にした。

天候不安定でも素晴らしい赤木沢。次回は、晴天続きで増水していないときに再度赤木沢をたどってみたい。

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薬師峠のテント場から、北ノ俣岳を眺めながら木道を歩く仲間。

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【行程】
■8月29日
07:40     折立出発
08:27     1700m地点着 休憩
09:10     三角点ベンチ 休憩
10:10     2000m地点 休憩
11:00     五光岩ベンチ 休憩
11:45     太郎平着 大休憩
12:10     薬師峠テント場(デポ)
16:00      薬師沢小屋着

■8月30日
07:50      小屋出発
09:00      赤木沢出合
11:30      大滝(35m)
12:30      最後の二股
13:20      ルートミスにより引返し(&雷雨退避)
14:00      稜線 大休憩
16:00      北ノ又岳
16:45      太郎平小屋 大休憩
17:20      薬師峠テント場

■8月31日
06:50      テント場出発
07:18      太郎平小屋
10:00      折立登山口


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テーマ:登山 - ジャンル:趣味・実用

                                               
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