
山でお酒を飲んでますか?
お酒があるだけで、織物のようにアウトドアシーンに心のひだが織り込まれ、思い出深い情景がさらにお酒の力で醗酵し、まるで上等なお酒のような馥郁(ふくいく)とした香りを手に入れるような気がする。
思い起こせば・・・中学時代の夏休みに歩いた奥秩父の十文字小屋では、汗でシャツをびっしょり濡らした年配のおじさんたちが上機嫌でビールを飲んでいた。「ぷは~うめ~」と大笑いする光景は今でも忘れられない。
この時は荒川源流を訪ねたくて、川又から赤沢出合を経由して歩いた。野鳥鳴き交わすブナの森に響く源流の涼やかな水音にとても幸せな気分だった。稜線まで詰め上がり、甲武信岳をピストンして向かった先は、この日宿泊予定だった十文字小屋。そこの前での出来事だった。
美味そうにビールを飲むおじさんを前に、子ども心に“ビールっておいしそうだな”と感じてしまった。
高校時代は、山岳部の顧問だった英語教師がテント内でちびりちびりとサントリーのウイスキーを舐めるように飲んでいた。そんな先生を前に部員たちは翌日の予定を確認しながら、酔いとともに饒舌になる先生の話はまだかまだかと期待に胸ふくらませていた。そして、ぽつりぽつりと言葉がつむぎだされ始めると、とたんに部員たちは静かになり、冒険話や山と心理学、哲学めいた不思議な話に夢中になった。
そして大学山岳部、社会人山岳会・・・お酒はどこにでもついて回った。
以前の記事、ボルネオ島カヌーアドベンチャーでは、現地の女性が口で噛んで吐き出して、唾液の酵素パワーで醗酵させる“噛み酒”というものを生まれて初めて体験もした。初恋とは無関係だけれど、白く濁ったような甘酸っぱい不思議なお酒だった。
◆ボルネオ島アドベンチャー・カヌーキャンプツアー 添乗員体験記さて、いよいよ本題。
今回、道志の森で開催した燻製キャンプで用意したお酒のひとつがセブンホールディングス(イトーヨーカドー)が輸入販売する“ヨセミテ・ロード(白)”というワイン。正式には「ヨセミテ・ロード シャルドネ」。フルーティで厚みのある香りで、どことなくフローラルな印象もあり、悪くない・・・わりと旨いし飲みやすい。で、価格は驚きの598円なり。安いけれど、どっこい味は1000円以上のものと遜色なし。


上左:ハムの燻製準備 上右:ベーコンの燻製準備 下:燻製器にセット

絶賛 燻製中!味も価格も魅力的だけれど、何よりも素敵なのはその名前。山好きにとってはグッとくるような「ヨセミテ・ロード」。この名前だけで“飲まねば”という気にさせられてしまう。ヨセミテへと誘ってくれるワインだしね。そういえば、クライマーの山野井さんが、以前、Number誌の記事で、“ヨセミテのクライマーと酒”についてふれていた。その部分を抜粋してみると・・・
ヨセミテは日本人に限らず、世界のクライマーにとって聖地みたいな場所。みんながめざしていたし、僕も高校を卒業したらヨセミテに行くんだなと、当たり前のように思ってました。いまでこそクライミングにはプロフェッショナルっぽい人がいますけど、その頃はもっとアウトローの集団みたいなところがあって、クライミングバムと呼ばれる連中が大勢いたんです。自由な雰囲気で、みんな夜な夜な歌って踊って酒を飲んで、朝になれば登る。仕事もせずに一年中クライミングしていて、「いいなあ、俺もこういう生活を一生続けたいなあ」と思いましたね・・・云々
仕事もせずに、飲んで踊って登って、一年中クライミングできる連中ってどんな連中だい?って話は置いといて、このヨセミテのクライマーの話が記憶にあったので、ヨーカドーで「ヨセミテ・ロード」を見た時には反射的に数本買ってしまった。きっと彼らも飲んでいるかもしれないなぁ・・・なんて思いながら
これを仕込んでいるワイナリー「ヨセミテ・ロード ヴィンヤード」は、ヨセミテ公園のすぐ南、フレスノにある。まさにヨセミテへと通じる道のワインというわけだ。

道志の森のテントよりテントに横になり、全開にした入り口から森を眺めながらヨセミテ・ロードをシェラカップで飲む。ほんとうはワイングラスのほうが旨いのだろうけど、これはこれで実に格別。つまみは魚ソーとアンチョビの缶詰。これはキャンプでの話なのでワインボトルごと持ち込んだけれど、涸沢のテント場に行く場合は、スキットルか小さなプラティパスに移し替えることになる。
そういえば、昨年の今の時期、八ヶ岳の高見石小屋では「星空とワインを楽しむ夕べ」というイベントをやっていたはず。高見石からの星空は北アメリカ星雲(天の川)の光の帯がはっきり見えるし、きっと最高だろうなぁ。
この夏、高見石で星空を眺めながら、このヨセミテ・ロード飲んでみたくなった。梅雨が明けたら、高見石のテント場に“乾杯”しに行くことにしよう。
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ヨセミテは当時まさにフリークライミングの聖地であり憧れの場所、クライミングの事はもうあまり覚えていないけど、毎日登った後、あまり美味くないけど安いバドかクアーズを飲みながらウダウダとアホ話して寝るの4か月近いキャンプ生活は楽しかったなぁ。
さっそく買いに行ってきます。そして飲みながら昔のことを思い出してみるかなぁ。