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Zetterlund
Author: Zetterlund
クラブネイチャー管理人です。犬を連れ、キャンプを愉しみながら、ハイキングやクライミング、沢登りを楽しんでいます。仕事はコピーライター、プランナー、PR。
都内から房総に移住し、4年後に山恋しくて今は丹沢の山並み見える神奈川にUターン。
山と音楽と本があればシアワセ。

メールは下記まで
info.clubnature#gmail.com
(メールの際は#を@に入れ替え)

【好きな山】
甲斐駒ケ岳、秋田駒ヶ岳、水晶岳、北岳、烏帽子岳(乳頭山)、丹沢山

【好きな曲/アーティスト】
・マーラー/ベートーベン
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・松田聖子
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・ウラディーミル・アシュケナージ
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クラブネイチャーは、山とシンプルキャンプスタイルのためのアウトドアBlog

巻機山 米子沢の天国に続くナメ滝

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新潟・群馬の二県にまたがり、その頂き周辺には、遠い空を星空を映す天界の鏡のような池塘(ちとう)群が静かに広がる。そして、はからずも古より織姫伝説の神秘を抱えた山。

またあるいは、豊富な積雪を持ちながらも奇跡的にスキー場を持たない、いわゆる登山の「聖域」として知られる山。その頂きから谷川連峰や越後三山などのすばらしい展望が思う存分に堪能できる。

この神秘の山こそ巻機山(まきはたやま)だ。

標高は1961メートル。2千メートルには満たないけれど、苗場山や谷川連峰に負けず劣らず、四季それぞれに魅力的な顔を見せてくれる。山頂から南西に延びる井戸尾根の頂きに近い、ちょうど避難小屋の水場付近と山頂直下を水源とするのが今回旅した米子(こめこ)沢。聖域の山にふさわしく、ゴルジュあり、幾多の壁あり、そして天国に続くかのような壮大なナメ滝がフィナーレを飾る、実に素敵な場所。

学生時代にOBに連れて行かれた際には一日中ガスっていた。それが残念で10年ほど前に夏の晴天を狙ってリベンジを果たした。が、いかんせん使い捨てカメラ数枚分のプリントしかなく、年々プリントの色褪せとともに、またその記憶も年を追うごとに薄れてしまった。そして気まぐれに、ときどき思い出しては、ダイナミックな滝に飛沫をあげながらほとばしる水流や、両側から押し迫るゴルジュ、後半のナメ滝にウズウズしていた。

そんな矢先のこと。山仲間から「米子沢行こうよ」との誘いがかかり、天候不良で一度延期した結果、紅葉も楽しめる10月上旬、巻機山へ米子経由の山旅が実現した。

米子沢自体は、麓の桜坂駐車場から、どんなにのんびり登っても6~7時間もあれば、巻機山の稜線手前にある避難小屋まで詰め上げることができる。古(いにしえ)の登山ルートは藪の少ない沢筋だった・・・なんていう話は置いといて、原生林の中を黙々と歩き登る登山道よりはるかに爽快で、ちょっぴりスリリングなアドベンチャー気分が楽しめるのも沢登りの醍醐味。おまけに、米子沢の場合、始終にわたって最高の眺望を堪能できるのだからたまらない。

ところで米子沢は事故が相当に多い。そのため、嫌になるほどあちこちに「米子沢 遭難事故多発中」というような大きな看板が立てられている。そういえば以前所属していた山岳会で米子沢の計画を話していた時のこと。メンバーのひとりが米子沢に入ったとき、偶然にも事故者搬出の現場に遭遇したと話していた。
※今回も隣の沢で事故があったようで、ヘリがホバリングして救助する場面に出くわした。

米子沢には難易度の高い滝や壁、丹波川本流のような激流はないけれど、次々と連続する滝はそれなりのスケールがある。ホールドも豊富だから取り付けるけれど、微妙なバランスが要求されるポイントもあり、そんなところで万が一にも墜落すればただでは済まない。怖がりなボクは、ごくまれに無謀な突っ込みをすることも無くはないけれど、たいていの場合はロープを出す。

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さて、桜坂駐車場で朝の6時半にJINさんと落ち合い、腹ごしらえと身支度を済ませて7時半に出発。米子沢左岸の林道を登り、途中で沢へと通じる小道へ入ると、堰堤群の一番上に飛び出した。アプローチシューズのまま、ゴーロの河原をどんどん登る。いいかげん、水はまだなの?と口々に出始めたころ、ようやくゴーロの河原にチョロリと水らしきものが突然出現した。

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下流の駐車場横を流れる米子沢はけっこうな水流があるので、そこから下は伏流水となって、どこかで地上に湧き出してでもいるのだろう。とにかく、チョロリと水が見えたと思ったら、上流に向かうにつれて水量がどんどん増えてくるのだから面白い。適当な場所で沢装備を装着し遡行開始。進むに従い、しだいに大きくなる沢音にボクらはニヤニヤしっぱなしだ。

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2段20メートルの、通称「くの時のナメ滝」を通過しながら沢靴のフリクションをチェック。すでに3シーズン目のため靴底のフェルトはカチカチでペナペナ。フリクション
は限りなく低く最悪だ。帰ったらアクアステルスのシューズの新調を決意した。

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JINさん

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フリクションをテストしながら小滝を楽しみ遡行していると左側からナメ滝が入ってくる。右側の本流の瀞横に重なるランペを越えつつ10mの樋状の滝を越え、そのまま右岸(左側)の巻道へ。眼下に3段40メートル大滝の悪相を見ながら、登りすぎに注意しつつ適当な場所から慎重に滝の落ち口へトラバースして降下。この巻道とて、滑落すれば昇天間違いなし。

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上の写真の20メートルの滝は左右のどちらからでも容易に登れる。面白いのはやはり右壁だろう。ホールドをつないで登る。ボクらの前をガイドに引率された皆さんが先行する。この後、ナメや小滝を気持ちよく越え、1140メートル付近で右から栂の沢を合わせ、やがて両岸が狭くなった場所に樋状の滝がかかる。ここは釜に入らず、右岸のバンドをトラバースして滝上へ。

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<クリックで拡大>

気持ちのいいナメをヒタヒタと、効きの悪いフェルトソールのフリクションを確かめながら乗り越えると、広々した陽だまりがあった。大きな一枚岩で作られた平らな滝の上でザックをおろし、たどってきた沢筋を見下ろしながらの休憩タイム。JINさんは、大きく伸びをすると、気持ちよさそうに大の字になった。

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12mスダレ状の滝上で下界を眺め一息<クリックで拡大>

5メートルの滝は左壁から、その上は17メートルの滝の右岸(左側)から滝がかかり、実に美しい。その滝上には、先ほどのガイドツアーの先行グループが景色を眺めながら談笑していた。「今日は避難小屋ですか」と聞かれたので「はい、そのつもりです」と返すと、おっという顔をした後すぐに笑顔になった。きっと彼らも避難小屋なのだろう。賑やかな夜になりそうだな。

天気はあいにくの曇り空。ガスが下から流れ登り、あたりを幻想的に演出したと思えば、たちまちに流れ去り、ちらりと日が差すというような猫も驚くようなめまぐるしい天気。まあ谷川岳と似たり寄ったりということか。

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JINさん

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左壁を攀じる。残置ハーケンも豊富でプロテクションも余裕でとれる
<クリックで拡大>

多段の滝15メートルを越えると、いよいよゴルジュに突入する。ラストの大ナメ帯と甲乙つけがたい米子沢ならではの見ごたえあるゴルジュ帯だ。左岸・右岸と渡りながらますます狭まるゴルジュを堪能する。5メートルの滝は右壁を登り、上で左へトラバースして落ち口へ。チョックストーンの小滝は右岸のバンドを進み、その先をクライムダウン。目の前は円形劇場のような2段8メートルの滝。その威容を眺めながら水面ギリギリのバンドで滝の右側へ回り込み右壁から越えた。
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先行する沢の実技講習らしきグループ

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右壁を登るJINさん

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ゴルジュを進むJINさん(クリックで拡大)


ゴルジュ最奥の2条20メートルの滝は威圧感はあるものの、右壁から越えれば暗いゴルジュから広い世界へぽんと飛び出すのだからたまらない。
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2条20メートルの滝<クリックで拡大>

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2条20メートルの滝は右のカンテを登った<クリックで拡大>

次の2段15メートルは左壁から残置シュリンゲを使わせてもらい、上部は左奥から滝上へ。ここまでいくつ滝を越えてきたろうか。これら数々の滝が次々と休む暇なく出てきて、「登る」楽しさを味わえるのが米子沢のいいところ。ナメ滝オンリーではない、なんというか・・・ミックスパフェのごときバラエティー感で、ほんとうに楽しめる。
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フリクションを確かめながらナメをゆく<クリックで拡大>

そして、いよいよここからがクライマックス。はるか高みより清流が飛沫を上げながら、ナメ滝となってボクらのことを迎えてくれる。出だしこそ階段状で、かなり傾斜も急だけれど、滑落に注意しながら登ると、やがて斜度もゆるくなり、流れてくる先は草原と空だけという、まさに「天国へと続くナメ滝」という形容がピッタリの素晴らしい世界が広がっている。これを堪能するため、立ち止まり、休憩すること度々。

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最初は急こう配のナメが続く<クリックで拡大>

しかし、ここで万が一スリップしようものなら、確実に下の滝まで滑落し、死のダイブをすることは容易に想像できる。平易に見えるけれど、実はとても危険な個所が斜度の大きい大ナメ帯の出だし部分だろう。

と同時に、言葉に形容できないほど美しいのもまた事実。

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これぞ天国に続くナメ滝<クリックで拡大>

「星降る夜には神々の滑り台になるのだよ」と耳打ちされたなら、きっと信じてしまいそうなほど現実離れした美しき大ナメ帯。サワサワと乙女の柔肌のように流れる沢水に足を一歩一歩踏み出しながら、この幸せを噛みしめるように歩く。ゆいつ残念なのは、曇っていることだった。

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<クリックで拡大>

さて、沢を登り詰めると、なんと稜線付近はすでに草紅葉まっさかり。いつしか言葉もなくなり、幸せ感に包まれたまま源頭の水場に至る。そこには地元山岳会の方々によって、しっかりと管理された美しき巻機山避難小屋がある。心から感謝。

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源頭は燃えるような草紅葉に染まっていた<クリックで拡大>

小屋では先ほど先行していたグループのにぎやかな声が2階から聞こえていた。ボクらは迷わず1階にザックをおろしマットを敷くと、乾いた衣類に着替えた。さらさらの衣類のなんたる気持ちよさよ。すぐに湯を沸かすと、チョコレートをかじりコーヒーを飲みながら、小屋外の草紅葉を幸せな気持ちでいつまでも眺めていた。この夜、風雨が激しく小屋を叩き、夜半にぴたりと止んだ。

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これぞシンプルキャンプの極致(クリックで拡大)

翌朝、早々に朝食を済ませたボクらは、冬の匂いの混じる冷ややかな秋風に吹かれながら、黙々と登山道を下った。流れゆく霧の切れ目から、はるか眼下に米子沢が遠望できる。それを眺めながら、昨日辿った山旅の景色を何度も思い返す。10月の米子沢は、今年最後のフィナーレにふさわしい沢登りになった。

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紅葉に無口になるJINさん

駐車場 7:30出発
避難小屋 14:00着

【沢登り記事リンク】
・夏は沢登りで僕らはトムソーヤになる
・奥飛騨 高原川 沢上谷
・奥秩父 竜喰谷
・奥多摩 逆川
・奥多摩 川苔谷 逆川 2010沢初め
・水根沢 『第一回サワヤカ』終了
・沢登りの夏

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テーマ:登山 - ジャンル:趣味・実用

                                               
Comment

米子沢でしたか


ここだったのですか。
なんどたどっても良い沢です。
私も行きたくなりました。
今週末あたり、考えます。
またぜひお誘いください。
まってます。
  • 2012/10/10(水) 08:59:28 |
  • 内田|URL
  • [編集]

Re: 米子沢でしたか


うっちゃん

ごめんなさい。そうなんですよ、米子でした。
谷川方面も行きたかったですけれど、それは次回ということで。
今週末は甲州の涸れ沢でささやかな岩登りハイクを楽もうと
おもっていますので、末あたりではいかがでしょう??
ではでは♪
  • 2012/10/11(木) 13:07:07 |
  • ユウ|URL
  • [編集]


>星降る夜には神々の

やられました。完敗です。
いえ、遡行のご様子うんぬんではなくて
この言語感覚に。完敗です。

ついでに、この世の隣には極楽浄土がある、
そのことに気づかされました。
巻機山に埋葬してほしいです。
  • 2012/10/21(日) 11:01:26 |
  • いまるぷ@地下潜伏中|URL
  • [編集]

いまるぷさん


ナメ滝って、きっとそうなんです。
人が寝静まった頃、さわさわと騒がしくなって
そのはるか高みを滑るように流れる星々を、
きらきらと映し出しているに違いないんです。

上高地を見下ろす、極楽浄土の数張りのみのテン場、
ごいっしょいたしませう。星々を眺めながら、ぜひ一献!
  • 2012/10/22(月) 22:28:25 |
  • ユウ|URL
  • [編集]
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