
<ようこそ、八ヶ岳ビューの特等席へ>中央線に乗り笹子トンネルを抜けると、青空の下にゆったりとたおやかな峰々を連ねる南アルプスがよく見える。その場所から眺められる北岳、間ノ岳、農鳥岳の白峰三山と呼ばれる山々が昔から大好きだ。
この南アルプスは赤石山脈と呼ばれる。その名の通り「赤い石」が顕著だからそう呼ばれ、それは沢登りで赤石沢などに入れば清流に磨かれた赤い石がとても美しいことからもよくわかる。赤石沢に最後に入ったのはすでに10年も前だから、とても懐かしい。
火山性の北アルプスなどとは生い立ちを全く異にする南アルプスは、フォッサマグナによる地殻隆起によっているため甲斐駒の一部をのぞいて水成岩からできている。その甲斐駒ケ岳や鳳凰三山は花崗岩からできていて地蔵ヶ岳のオベリスクなどの白い山稜部は桃源郷の甲府盆地からでもよく見える。
地殻隆起でできあがっているので森林限界がとても高く、北アルプスの2500メートルに比べ、南アルプスでは2700メートルにまで上昇する。そのために樹木に覆われた濃厚な印象があるのだろう。
さて、この南アルプスの中で、週末ランチを楽しみに家族あるいはひとりでフラリと出かける場所がある。それが八ヶ岳の格好のビューポイントでもある日向山(1659メートル)だ。
日向山は二等三角点を持つ甲斐駒ケ岳の前衛の山で、南アルプスの名水・尾白川に沿う尾白川林道の途中にある矢立石から1時間半ほどのハイキングで辿りつける最高の場所。しかし、
前記事の尾白川キャンプ場同様に、ここもハイキングコース入り口付近の未舗装部分の林道がやや難点。車の底をこするので、あまり車高の低い車では入らないほうがいいと思う。また林道横の駐車スペースも限られているので、入るなら遅くても8時前がおすすめ。
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?longitude=138.271722&latitude=35.802936">■日向山(国土地理院)
http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?longitude=138.271722&latitude=35.802936
足元はすでに10年以上愛用しているサロモンのクロストレーニングシューズ。もうメンテナンスの施しようがないほどボロボロ(靴底メンテ1回済)に痛みきっていて、そろそろ新しいシューズの投入時期だけれど、愛着あるのでどうせなら新シューズをザックに忍ばせて山に行き、山でこいつがダメになった時に履き替えようと思っています。とにかくザックでもテントでも、愛着あるものをボロボロになるまで使うスタイルで、少年時代に初めて手に入れたメインのアタックザック(カリマー・ハストンバロット)はそろそろ30年が経とうとしている。

日向山への登路は気持ちのいい広葉樹の明るい森の中に伸びており、階段あるいはちょっとした岩を越えたり少しずつ高度を上げて行く基本的には穏やかな尾根道なので誰でも楽しく歩けるに違いない。歩く時間は7時前がおすすめ。細い尾根を西から東へと流れる朝もやの中を歩く気持よさが味わえる。何時間でもこの気持ちよさを味わっていたいのだけれど、残念なことにトレイルは1時間半ほどで突如としてクライマックスを迎える。

クリックで拡大やがて勾配が緩やかになり、花崗岩が風化してできた白い砂道が時折あらわれるようになったら、クライマックスは近い。登山道もほぼ平坦になるので下を向かずに前方を眺めつつ歩く。そして右手の太い倒木の向こう側に、下のような異界への扉がぽっかりと姿を表すのだ。

クリックで拡大できればこの扉をじっくりと味わいつつ通り抜けてほしい。大きく息を吸ってぱっと飛び出すと、そこにあるのはたかだか1600メートル少々の山からとはとうてい思えないほどの、まるで大海原と見まごうばかりの雄大な景色。眼下には雲海が流れ、その中に島のように八ヶ岳が浮かんでいる。

真っ白な雁ヶ原で眼下の雲海とまるで島のように浮かぶ八ヶ岳をバックにスナップこの日向山は甲斐駒ケ岳や鳳凰三山と同様に花崗岩からなるため、稜線上には地蔵岳のようなオベリスクが林立し、花崗岩が風化した真っ白な砂礫が見渡すかぎりを覆っている。ざらざらとしていてフリクションが効きづらいので滑ったらそのまま滑落しそうでちょっとスリリングな踏跡が続く。

クリックで拡大砂礫の稜線で休憩する二人の登山者が見える。時刻は朝の8時だから、見渡すかぎりの風景の中にはボクらを含め3組ほどしか見えない。

クリックで拡大先ほどの登山者がいたあたりから、来た道を振り返るとこんな感じ。

クリックで拡大あたりはこのように風化した花崗岩がにょきにょきと立ち並び、まさに地蔵岳のオベリスクと同様の不思議な景観が広がる。このオベリスクの上に登ることもできるし、オベリスクの好きな隙間に陣取って、そのプライベートスペースでのんびり昼寝したり写生したり、コーヒーを飲んだり。

もちろん富士山だってしっかりと楽しむことができる。しかし、ここのハイライトは八ヶ岳。花崗岩のオベリスクを前景に遠く雲海に浮かぶ八ヶ岳を思い思いのプライベートスペースで好きなだけ堪能しながら、ランチする素晴らしさ。日向山ならではの楽しみってわけです。

クリックで拡大春夏秋冬。日向山は一年を通じて最高の山ランチを楽しませてくれる素敵な場所です。そして最高の時間帯は早朝。夕方も西日に染まる姿が楽しめますが、その際にはヘッドランプ持参で。
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