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画像は山仲間 撮影ユウ「あなたは、最近“冒険”をしていますか」
そんな質問をされたら頭を捻ってしまうだろう。それは、きっと、僕らが大人になってしまったからなのかもしれない。
思い起こせば少年時代。手足に生傷を作りながら藪に飛び込み、ドブ川横の野原を探検し、それでも飽きたらずに小さな庭の木の茂みの影や、あるいは家の中の納戸だって。想像力たくましいわんぱく少年にとっては、なんでもかんでも“冒険”の対象になったし、未知の体験との遭遇がそこにはあった。
“冒険”という言葉にワクワクしてしまう大人はきっと多いに違いない。今の子供たちのことは知らないけれど、ちょうど僕らの世代であればマーク・トウェインの「トムソーヤの冒険」とか映画の「スタンド・バイ・ミー」などを知っているのではないだろうか。で、もちろんBGMは“When the night has come. And the land is dark~~~”で始まるベン・E・キングの「スタンド・バイ・ミー 」です。
これらに共通する“冒険”は、少年が大人になる際の通過儀礼的な意味合いを持ち、その通過儀礼という行為が僕らのDNAに刻まれているから魅力的なのか。ともあれ“冒険”という行為は、危険であることを事前に知っていて、それを承知で挑戦するということなのだと、これは植村直己さんがどこかで書いていたものの受け売り。
こうした要素をいくぶんか内在し、危険と気持ち良さを、それはもう高次元でバランスさせたような行為が沢登り。登山より冒険的であり、クライミングより自然と戯れ遊ぶ要素が大きい、まさにアウトドアが好きな大人のための、真夏にふさわしい冒険行為ではないか。

早朝の沢水はまだ切るような冷たさ。緑のトンネルに期待が高まる。暑い暑い、ムンムン、ジリジリと、ミディアムレアになってしまいそうな数日間。突如として前夜「明日、沢登り行こうよ!」と連絡が入り決定。思いっきり水遊びができる奥多摩の沢で仲間と落ち合った。3.11の震災以降、山に入る気が削がれてしまい、丹波川本流、笛吹川ヌク沢左俣、源次郎沢に次ぐ、これが今年4本目の沢。
翌朝7時前に奥多摩で合流し、のんびりと朝食を済ませ沢に向かった。適当な場所から沢にクライムダウンし、そこで沢装備を装着すれば、大人のトムソーヤのできあがり。お互いに顔を見合わせてニンマリする。まるで悪ガキそのもの。目の前を流下する冷たい沢水にそろそろと足先から入って、そのヒンヤリとしたファーストタッチを歓声を上げて喜ぶなんて、まるで子供そのもの。


滝壺を泳ぎ滝の水流中を飛沫をあげながら登ったり。あるいは側壁を登ったり。また時には残置ハーケンにスリングをかけて登ったり。とにかく事故だけには注意しながら、水遊び感覚で沢と戯れていると、ようやく日射しが差すようになり、あたりの森では蝉の鳴き声が盛んに聞こえ出した。

体が冷えたら、陽だまりで小休止。あたたかい岩の上に腰かけて、乾いた喉を潤したら、再びジャバジャバと沢へ。途中で見つけた滑り台のような小さなナメ滝は、つるつるとよく滑る天然のウォータースライダー。まさにリアルな水のテーマパークだ。

トイ状の滝でも、足先のつかない滝壺を泳ぎ、水流に負けないよう滝に取り付き、ここは両手両足を突っ張ったステミングでグイグイと登る楽しさったら、言葉にできないほど。言葉にしたいのに、ああ、くやしい。もちろん落ちたらただでは済まないことは百も承知の上。

滝に取り付くため水流に負けないよう滝壺を泳ぐ仲間とにかく、これでもかこれでもかと出てくる水量豊富な滝で泳ぎ、登り、真夏の暑い一日を涼しく楽しんだ。まだまだ残暑は続くし、10月になったら紅葉の沢登りだって楽しめる。あるいは下部は沢登りで途中からフラットソールに履き替えマルチピッチのクライミングとなるルートもあるし、大人のトムソーヤの季節はもうしばらく続きそうです。

ステミングでトイ状の滝を突破とにかく、大人は、夏に沢登りでトムソーヤになるのである。
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私、今週より遅い夏休みで扇沢から歩いて室堂入りして
あちらこちら縦走してまいりますので。ラリホーです。
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