
さあやってきました、サワノボラーの季節です。
“沢登りなんてものは冬になればアイスクライミングと名を変えて、凍った滝をダブルアックスで登って愉しめるし、通年楽しめるじゃん”と言われてしまえばそれまでなんですけれど。
でもね・・・ジリジリと肌を焼くような日差の季節に、ヒャッコイ・チベタイ沢水の中をシャワシャワと歩き、滝つぼを泳ぎ、飛沫をあげる滝のその水流中を登って愉しむ沢登りは・・・やっぱり夏こそオンシーズン。夏の最高のアウトドアのアクティビティです。
奥秩父のナメ系か、奥多摩で泳ぎ主体の丹波川本流やら面白い滝がてんこ盛りの海沢谷、はたまた“モリノ窪瀑流帯”などというなんだか恐ろしげな名のゴルジュ帯を持つ小川谷・犬麦谷のどれに行こうか・・・と考え、最終的にアプローチの容易さと、ツメの藪漕ぎが無く、ウスバ乗っ越しから入渓地点の南西方向へ尾根を落とすウスバ尾根で下山できるというポイントを重視して選んだのが奥多摩の川苔谷 逆川。パートナーは東京時代の仕事仲間であり、山&カヌー&キャンプ仲間でもあるjin_bravoことハリー氏。
入渓地点には駐車スペースがあるけれど、3台しか止められない。空きが心配だったのでハリー氏と朝の6時~7時頃に奥多摩駅前で落ち合い、入渓地点までいっしょに走って、もし空きがあればそこに駐車し、無理なら別のスペースを探すという予定。
Twitterで出発をPOSTし、外房の自宅を出たのが4時ちょっと前。6時半頃に奥多摩駅前に到着すると、すでに先乗りし車の中で仮眠していたハリー氏が目を覚ました。入渓地点までの林道の漬物石サイズの落石を人力でどかしながら、この分では先行者は居ないな、とひと安心。
車を駐車し路上に敷いたシートで陽が高くなり気温が上がるのを待ちながら二人で朝食をぱくついていると、一台の車がやってきた。話をするとご夫婦で逆川を登りに来たのだと仲の良さそうな50代。彼らはテキパキと身支度を済ませ「お先に」と川苔谷へと下って行った。

その後もしばし雑談しているうちに陽も高く昇り十分に暖かくなってきたので身支度を済ませ、こちらも谷へ。
日原川本流を上流に少し辿ると左岸(右側)に逆川が合流する出会いに着。小さな滝つぼにザブンと飛び込み、8時45分に遡行を開始。チベたくて気持ちイイ~!

F1、2段11mの滝の下段3mを登っているご夫婦F1の2段11mの滝に到着するとかなりの水量。そこに居たのは先程のご夫婦。ザイルを伸ばしてしばらくチャレンジしていたようだが、やがて滝の直登をあきらめて左岸(向かって右側)側壁の高巻きの岩場を登って行った。1段目3mの滝を越えると水流が風爆のようにかかる。これは多いな、と思いつつ滝の右側をフリーで突破。ホールドは豊富です。
ボクらはここで高巻くご夫婦に先行し、次々と出てくる滝を釜(滝つぼ)にザッバンと首まで浸かり沢初め(さわぞめ)を堪能しつつ遡行。立て続けに出てくる3mの滝も水量は豊富で、途中まで泳ぎ、壁が狭まった場所からステミングで突破する醍醐味ったらない。

緑色に染まる幻想的な谷底の美しさに目を細めながら、快調に2mのナメ滝、連続する小滝、10mのナメ滝など、すべて釜(滝つぼ)に浸かり、笑いながら次々と登る。さながら天然のウォーターランドだ。低体温症にだけは気をつけて楽しめば、汗とは無縁のめちゃくちゃ爽快なアウトドア遊びだ。

夢中で水と戯れるわらじスタイルのハリー氏10:00。左に8mの滝をかける支沢を過ぎると足がつかぬほどの深い釜を持つ3つの滝を擁するゴルジュ・エリア。実はここを遡行したのは20年前。当時の記憶だと釜を泳いだものの壁に取り付けず、冷えに手がしびれて溺れかけた記憶が。そんなことを思い出しつつ、最初の4m滝は難なく突破。2つめは水流を、3つめは左側から。

左がハリー氏、右がボクそして、すぐ上の小滝でお互いにハイポーズ。防水カメラだからと、ポケットに入れて遡行したものだから低水温で冷えてしまいバッテリー切れランプが点灯しっぱなし。ハリー氏のように、ザックのショルダーストラップに固定できるカメラホルダーがあれば便利だったのにな。

左がハリー氏、右がボク休憩の後、真正面のダンプカーのような大岩から左方向に進むとF2・2段7m滝に出会う。ここも直登。その後も次々と休む暇なく楽しい滝が目の前に現れ、積極的に水に入り、滝を登った。沢登の面白さは水にあり、ですね。途中、どこの滝かは忘れてしまったが、手がかりが無い右壁に絶妙に残置されたスリングをつかんでA0で超えた場所が一箇所。
そしてF3・2段11mを越え、二股を左へ進むとF4・7mトイ状の滝に続いてF5・5m。逆川のフィニッシュに突入。そしておもむろに姿を現すのがF6・10mの大滝。ここも水流の右側をノーザイルで登れるのだけれど、万が一でも墜落したらタダでは済まないので、セルフレスキューの精神でザイルを伸ばす。基本的にボクは臆病ですから。

一番下のハーケンが腐っていたので、軟鉄のブレードハーケンを左岸(右壁)に打った.カーン、カーン・・・という音が打ち込むにつれてだんだん高音になり、最後はキン、キン・・・と何とも言えない音色になる。この音がすれば、ハーケンがしっかりと効いている証拠だ。この音の変化を昔のクライマーは“ハーケンが歌う”と形容していた。

滝下でビレイ解除し、登攀準備するハリー氏滝半ばのバンドで2番目の支点用にアングルのハーケンを打ち込もうとしたら、なんとクロモリのアングルが残置されていたので、ありがたくそれを利用。そしてさらにその上で滝の落口にトラバースする場所にも軟鉄ハーケンが残置。錆びていたが、チェックして大丈夫だったのでそれも利用し滝上でスリングにて岩角でセルフビレイ。セカンドでハリー氏もアルパインクイックドローを回収しながら難なく登り、20分でフィニッシュ。12:00。
目の前を横切るウスバ林道で北西に向かい日当たりのいい場所で小休止。ガチャガチャと熊鈴よりもやかましい装備やらハーネス、ハンマー類をザックに収納。“ウスバ乗越”から地図にルート記載がないけれど、南西に伸びるウスバ尾根を踏み跡を忠実に辿り、川乗谷へ下山。駐車場所(入渓点)の上流15分ほどの場所に出た。
あ・・・そうそう。今の季節、山には真っ赤な山イチゴがた~~っくさん生ってましたよ。それを摘んでジャムにしたらきっとおいしいんだろうなぁ。
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奥多摩もイイところですねえ。
ところで先日、デカい書店で気づいたコトがあります。
なんかネ、登山コーナーで、「沢」関連の書籍が増えているんですよ。
関東の沢ルートガイドみたいな、昔ながらのヤツのリニューアル版はともかく、「沢あるき」(登り、でなく)できる場所の関東版ガイドブック、とかですね。
沢ブームなんてのが、きたら面白いなあ。