
【逸品CLUB】巷ではモールスキンの手帳が人気ですが、アウトドアでもどこでも重宝するのは、なんたって野帳。これは“やちょう”と読みますが、アウトドア趣味の皆さんであれば、おそらくはご存知の方も多いはず。
もともとは測量の際に、もっぱら屋外で使われるノートのことで、フィールドノート同様にアウトドア仕様というわけです。ということは、キャンプなど野外活動ではなかなかに重宝する。
この野帳の歴史は非常に古く、記録に見た限りでは“野帳”の名は江戸時代にもあった。江戸時代の測量は精度は劣るもの、と思いがちだけれど、実はものすごく高精度。測量の方法は当時と今とでほとんど同じだ。とうぜん、現代は光学機器の発達で彼方の目標点を捉えることができるけれど、江戸時代も負けず劣らず。
二点間の距離を計測する間竿。仮標を立てて、その方向を正確に測る小方儀。仮標間の勾配を測る大方儀。これらによって方向と高度が正確に測れるわけだ。つまり三角測量。これは、現代で言うところのレベル測量。
そして・・・ここからが本題。これらの測量結果を屋外で書き記すフィールドノートの役割を果たしたのが“野帳”というもの。
江戸時代は和紙の裏に木板を添えたようになっていて、立ったまま、さらりと筆描きするに適した形態だった。いっぽう現代の野帳は、木の代わりに硬紙の表紙で装丁された手の平サイズ。ページも適量で、ささっと開いて、さくさくっと絵でも文章でも、立ったまま快適に書くことができる。
野帳は、ビーパルでもたびたび取り上げられているうえ、ビーパルオリジナル野帳なるものも発売されている。ビーパルの実物は見たことないけれど、写真で見る限りでは、カラフルでとてもきれいだ。が、中身はこの緑の装丁の測量野帳とほとんど同じ。
では、どちらがいいのか。
実利をとるのであれば迷わず、一般の測量野帳がおすすめ。なぜか・・・それはフィールドノートとして、気軽にガシガシ惜しげもなく使用できる価格設定にある。測量野帳は一冊120円。これは非常にコストパフォーマンスに優れているし、実用品はこうでなくちゃ的な設定だ。
硬質な表装で、開けばどこであっても非常に楽に筆記が可能。そして飾り気がなくてシンプル、単純、手の平サイズ。つまりどこでも使用できる硬派なノート。

僕は上の写真にあるように、この野帳を昔からいつも数十冊単位でまとめ買いして、仕事とフィールドの両方で愛用している。電車の中だろうが、山歩きの最中だろうが、好きなときに取り出して、時には歩きながらアイデアや発見を記入している。
もちろん、以前の記事に出てきた“秘密のキャンプサイト”を探す際には、シルバコンパス片手に、ルート図記入に活躍。一冊120円のこの野帳。十冊買っても1200円。この野帳がどんどんたまった分だけ、アイデアやフィールドの思い出、新発見もぎっしりというわけだ。
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テーマ:アウトドア - ジャンル:趣味・実用