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ユウ
Author: ユウ
クラブネイチャー管理人ユウです。犬を連れ、キャンプを愉しみながら、ハイキングやクライミング、沢登り、カヌーを楽しんでいます。仕事はコピーライター、プランナー、PR。
都内から房総に移住し、山恋しくて、今は丹沢の山並み見える神奈川にUターン。

ジムニー(JB23)をキャンプと林道専用の遊び車として愛用中。

メールは下記まで
info.clubnature#gmail.com
(メールの際は#を@に入れ替え)

【好きな山】
甲斐駒ケ岳、秋田駒ヶ岳、水晶岳、北岳、烏帽子岳(乳頭山)、丹沢山

【好きな曲/アーティスト】
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クラブネイチャーは、山とシンプルキャンプスタイルのためのアウトドアBlog

山の怪談 | S岳避難小屋で聞いた叫び声

怪談CLUB 第十六話


8月初旬。同じ山岳部の仲間だったNとTは、夏休みを利用してT川岳に来ていた。

M太郎本谷をつめ上がり、ふたりはその日、S岳避難小屋で一泊する予定だった。まだ明るい午後3時すぎ。夕食の準備だけ済ました彼らは笹の茂る小屋横の日影にそれぞれマットを敷いて寝転んで、青く霞む山々を無言で眺めながら、うとうとしていた。

ふっと風が凪いだ。かさかさと鳴っていた笹の葉音が止んだ。この世の全ての音が途絶えたように無音になった次の瞬間。カ・・ン・・・カン・・・カン、カン、と鐘の鳴るような音が近づいてきたと思う間もなく「らぁーく!!!らぁーく!!」という落石を告げる悲痛な金切り声が耳を突き抜けた。ゴオォ・・・という音のない轟音に伴う風が身体をかすめ、青い何かが視界の端を染めた。

Nは驚いて目を開けた。

目に飛び込んできたのは雲ひとつなく晴れ渡った青空だった。耳元では、サラサラ・・・サラサラ、と笹が風に涼しげな葉音をたてていた。滴るほどの汗が涼やかな風にひやりとした感触だった。小屋の日影に寝ていたため暑くはない。不快な汗だった。心臓も怖いほど早く鼓動している。Nは起き上がりながら額の汗を腕でぬぐった。

ふと横を見ると、口を半開きに両目を大きく見開いたまま、汗びっしょりでマットに横たわるTの姿があった。


Nは、まさかと思い「聞いたのか」とTに言うと「あう」と半開きの口で声だけ絞り出し、しばらくしてから大きく深呼吸し疲れたように起き上がった。

「おいT、おまえも聞いたのか?」とN。Tはうなずきながら「ら・・・く」と小声で呟いた。

二人は耳をすましたが、聞こえるのは笹の葉音ばかりの、いたって安穏と穏やかな山の日常だった。ぽかぽかと気持ちのいいS岳避難小屋の横で聞こえたのは、たしかに「らく」という叫び声だった。その声は、半ば金切り声に近い、裏返った叫びだった。そして、それはまるで自分が叫んでいるように思えた。

小屋横でのんきに昼寝している二人をからかおうと、そんな声をあげて逃げたのかもしれないと、ふたりは避難小屋を調べてはみたが、人の気配はまったくなかった。

重く寒々しい気分はこの後ずっと消えることはなく、またそんな気分が身体に影響したものか、手と身体がいやに冷えるようになってしまった。シュラフに入っても嫌に冷える。歩いて汗はかくけれど、冷や汗のような、なんとも形容しがたい嫌な暑さと汗だった。

二人はそんな気分を抱えたまま下山し、樹林帯まで高度を下げたときだった。下から五十代のグループがにぎやかに登ってきた。グループは男女6名ほどの混成部隊で、声高に話し、笑いながら元気良く登ってくる。ずいぶん遠から聞こえる声に、熊鈴より威力はあるな、と二人は笑ってしまった。

ふたりとグループはの距離は数メートルに近づいた。二人は山側によけてすれ違おうとした。しかし、ここで奇妙なことが起こった。グループは、まるでふたりのことが目に入らないかのように道の真ん中を登ってくるではないか。先頭のリーダーらしき男性は、時々大声で冗談を言いつつも、しっかりと前を見ているのに、二人のことを見ようともしていない。

そして、とうとうすれ違いざまに半身がぶつかってしまったのだった。ここからも、実に奇妙だった。ぶつかった瞬間、グループのリーダーは「あっ」と驚いたように飛び退くと、目をひん剥いて二人をじっと見つめたのだった。

その態度はリーダーばかりでなく、その後に続いていたメンバーも同様で、彼らは気付かずに当たってしまったことを詫びると、「おかしい、おかしい」と首をひねり、時々振り返りながら登っていった。

この山行から帰ったN先輩は高校山岳部の部室に顔を出すと、不思議なことがあったんだよ、と以上のようなことをボクら後輩に話してくれた。そしてこの2週間後のこと。N先輩はTさんとともに再びT川岳にクライミングに向い、落石によって両名ともに命を落としてしまった。

告別式は夏休みが開ける前のせみ時雨の中、学校の講堂で行われた。ボクのふたつ上の、とても穏やかで優しい先輩だった。


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テーマ:アウトドア - ジャンル:趣味・実用

                                               
Comment


オチがないじゃないかぁ、オチが(汁
TNGWってば、しかしアレほど死んでるんだから、何があってもフシギではないですね。

いま、ネット古書店でゲットした長越(のちの安川)茂雄の最初の著書「TNGW岳研究」ってのをひもといているんです。昭和30年、再版。面白いですよ。なんたって滝沢下部(トラバースね)が一ノ倉最難ルートの時代、だもんね。
そしてこの本には、すでに遭難碑が多すぎで、なんてエッセイがあるワケです。どんだけ、TNGW(w
  • 2009/12/02(水) 20:22:49 |
  • ラード|URL
  • [編集]


こんばんは!
山ってこういう話多いようですよね
こういう話大好きですよ~
  • 2009/12/02(水) 21:37:11 |
  • 百式|URL
  • [編集]


こりゃまたリアルな話で、ま~800人近い人が死んでる山だからそんな話もありますよね。一ノ倉沢の雪渓に死亡者の数の棺おけが並ぶっていう話もあるし・・。
 僕も怖い話を知っていますが、とてもブログじゃ載せられませんです。

 ただこのブログを見て谷川岳の死者数を調べたのですが、やっぱりアルパインクライミングの人数が減ってから死亡者数が減っていますね。かなり前に700人を越えたのは知っていたので、もう1,000人近いのかなと思っていました。
  • 2009/12/03(木) 07:43:59 |
  • IK|URL
  • [編集]

★ラードさん★


一ノ・・・なんて出したらTNGWと表記した意味が・・・(笑
安川氏の著書は愛読していましたが、長越氏のTNGW岳研究というのはまったく知りませんでした。

これは時代的に自分が高2でN先輩がK澤大学の山岳部に進学したときのことです。大学1年のNさんが別の大学山岳部の同じく1年のTさんとなぜかパートナーを組んでいました。事故の当日、これを目撃した後続パーティの連絡で部員に通知が回り、有志が現場で四方八方ばらばらになった遺体回収を・・・・ものすごく無残でした(涙

これ以後、どうにもTNGWの壁から足が遠のいてましたが、山岳会の来期の計画に一ノ倉が入っていました(汗 来年、Nさんを思いつつ登ってこようと思います。
  • 2009/12/03(木) 08:54:36 |
  • ユウ|URL
  • [編集]

★百式さん★


ごく時たま・・・こういうことってありますね。

ボクの場合は、二名なのに、なぜか三名に間違われたとか(汗
さすがにこのときの話は自分の身に起きたことなので、記事にしてませんが
  • 2009/12/03(木) 08:56:28 |
  • ユウ|URL
  • [編集]

★IKさん★


昔ほどでないにしろ、今でも事故、起きているんでしょうね。
壁の難易度というより、落石危険度が高すぎですよね。

まるであの山が巨大な墓標に思えてきます(汗

来期、会で一ノ倉を登りにいくので、そのときは懐かしい先輩の面影を胸に登ることにします。どのシーズンも、ものすごく気持ちのいい山なので、来期のクライミングを機にちょこちょこと登りにいければな、と(笑

これから先、自分は中高年登山ですので、無理せずのんびりとクラシックルート中心に楽しむことにします♪
  • 2009/12/03(木) 09:04:23 |
  • ユウ|URL
  • [編集]


ユウさんお疲れ様です!

自分この手の話は怖くて駄目です(笑)鳥肌です!関西ならサブイボです(笑)

運命として受け止めるしかないんでしょうか。
  • 2009/12/03(木) 20:44:03 |
  • 91|URL
  • [編集]

★91さん★


運命として受け止めようにも、その時は本人にとって、ただ奇妙なコトとしか写らないので困りますね(^^;;

これに近いことを一度だけ経験したことがあって。それは自分たちが二名なのに、三名と認識されたということでした。ものすごく奇妙なかんじでした。
  • 2009/12/04(金) 08:22:10 |
  • ユウ|URL
  • [編集]
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