
クリックで拡大(森からのぞくヒュッテ屋根)俗化されていない場所にカムイがいる。
精神的なものとして考え始めると、もうボクなどの頭では面倒くさくなるので、たとえばシンプルに距離感とか困難さとかにするとわかりやすくていい。
たとえば高山や深山幽谷の奥とか、洞穴とか、ニライカナイのように水平線の彼方とか、天の高みに刻々と運行する星辰とか、太陽とか、月とか・・・
そういった場所は気軽に人がアプローチすることができない。人が到達しにくいから日常ではない。そんな非日常こそカムイの住まいがふさわしいのだろう。
ネイティブニッポンの人々の間に語り継がれてきた存在がある。それはコロポックルという小人。ヤマトビトの言葉ではない。ヤマトタケルらに追い立てられ、攻め立てられた人々の間の言葉だろう。コロポックル、カムイ、トッケ(峠)などなど、多くの言葉が山にまつわる地名に残されている。
トッケに当てられた文字は峠。この“峠”は日本人が作り出したおびただしい文字のひとつだ。”山”に”上下”を組み合わせるなんざ、すばらしい発想だ(同じようなオリジナル文字に裃がある)。山脈を越えて行き来できる場所を“嶺”とも書く。代表的なのが大菩薩嶺。しかし嶺の持つイメージは山脈のようなスケール感が伴なう。
“峠”という文字には、日常の延長としての山越え・・・というニュアンスを感じる。嶺は非日常感が多く、峠には日常が色濃く匂うのだ。そんな嶺も、峠というニッポン文字に置き換えられつつあるようだ。
日常と非日常の間境に存在する峠。大門峠、開田峠、守屋の神の悲しい伝説を持つ杖突峠、鳥居峠、馬篭峠、小仏峠、スズラン峠、大河原峠、雨境峠、そして麦草峠と和田峠。今まで記事にはしたことがなかったけれど、麦草峠と和田峠は降雪時期に頻繁に遊ばせてもらっている大好きな冬の遊び場だ。

冬のコロボックルヒュッテ真横適当な場所にスノースコップで雪洞を掘ってそこに寝る。テントなどよりはるかに暖かい。洞内の気温は0度に保たれているので、非常にぬくぬく快適だ。3シーズン用シュラフ+カバーで充分なほど。しかし初夏から晩秋の季節は、車山に程近い場所にある“コロボックルヒュッテ”か“ヒュッテ霧ケ峰”を利用する。
特にコロボックルヒュッテは伝統と歴史を今に残す、実に気持ちのいい山小屋だ。屋内のカフェは御茶ノ水の喫茶穂高を磨き上げたような、とてもレトロな雰囲気が素晴らしい。外にもテラス席があり、以前は湿原をスカッと見渡せたのだが、今では樹木が生長してしまい展望は悪い。

かつては登山者の常宿として知られたコロボックルという名を持つ世俗離れしたヒュッテも、今や大半はドライブ客。それでもまだまだ非日常感を味わうことができる、素敵な場所です。
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コロボックル=クランポン(宮沢賢治のやまなしに出てくる)と言うのがあるらしくて、以前にコメントいただきました。面白かったのでTB入れますね。