
もしも今、最も登りたいのはどこの山か・・・と問われ今の気分で答えるなら北アルプスの黒岳あるいは明神岳だろう。明神岳は前穂から続く岩の主稜線上ををたどってもいいし、東側の岩場をよじ登るのも面白い。途中にテントが1張り設営できるほどの岩棚があって、そこで一夜を過ごすのも悪くない。なんたって眼下に最高の眺めが展開する。
もしも今、最も歩きたいトレイルはどこか・・・と問われ今の気分で答えるなら、北アルプスの西銀座ダイヤモンドコースだろう。人気の北アルプスのトレイルにあって、とても人が少ない。少ないけれど、堂々たる体躯の北ノ俣岳や壮大なカールを持つ黒部五郎岳が峻立するこのコースは通好みの奥深さと、きらびやかな華やかさを持つ、まさに宝物のようなトレイルだ。

縦走路からの展望は抜群だし、夏のオンシーズンにはお花畑に埋め尽くされる夢のようなトレイルだけれど、行程が長めのために人はさほど多くない。日程さえ調整できれば、今のボクにとって歩きたくてたまらないトレイルの筆頭格だ。

新穂高温泉から黒部五郎岳>薬師岳>五色ケ原>室堂まで4日間かけて歩いたり、あるいは折立から太郎平>北ノ俣岳>黒部五郎岳>三俣蓮華岳>双六・ワサビ平を経由し新穂高温泉まで2泊3日で歩いたり・・・思い付くだけでも6回以上は歩いている。
ただし、このエリアは雷雨が多く、昼過ぎになると雷がくる。まあ、午前中に行動を終えるというのは当然のこととしても、たとえば太郎平から黒部五郎岳までの岩尾根は行程がとても長く、ここで雷雨に遭遇してしまうと逃げ場がないのでかなりの恐怖を味わうことになる。
写真は北ノ俣岳から黒部五郎岳、太郎を歩いた時のもの。途中、北ノ俣岳を越えると左側に赤木沢・源頭のとても美しい湿原が広がる。この赤木沢はかつて一度だけ途中まで遡行したことがあるけれど“北アルプスで一番美しい場所”との言葉に嘘はなかった。
まさに夢の別天地で、神々が舞い踊る楽園と言われても信じてしまうほど。その様を説明する言葉が見当たらないほど。とにかくも、この世のものとは思われぬ世界が広がっていて、ボクは、登山家たるもの死ぬまでに一度は登っておきたい沢の第一と思っている。赤木沢を見ずして死ぬなかれ、だ。※2016年8月に完全遡行
さて、このコースのハイライトはやはり稜線に咲き乱れるお花畑と黒部五郎岳の壮大なるカールか。眼下には雲が浮かび、まるで天空を歩いているような妙な気分が楽しめる。この上からカールを見下ろせば、もう浮世の嫌なことなどスカッと忘れてしまえる。

そしてなんと言っても、五郎小屋のテント場の気持ちよさ。毎度ながら、ここにテント泊すると、もういちにち、もういちにち・・・と何泊でもできそうな気がしてしまう。しかしここは五郎。雷雨が茶飯事だから、状況にもよるけれど、最悪の場合は小屋に一時避難が懸命。
西銀座ダイヤモンドコースの雷には気をつけてください。
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ハイマツのコントラストが、いっそう映える、
そんな姿を遠望するだけでしたが、
一度は歩いてみたいものであります。
そういえば、松本の街からですが
常念山脈に槍の穂先までばっちり見えているのに
西の空が真っ黒で遠雷が聞こえることがあります。
あれは、薬師や西銀座方面の雷雲の動きだったようですね。
ああ、主稜線の向こう側、カール・ブッセじゃありませんが
憧れるものなんですなあ。うむ、今年こそ。