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ユウ
Author: ユウ
クラブネイチャー管理人ユウです。犬を連れ、キャンプを愉しみながら、ハイキングやクライミング、沢登り、カヌーを楽しんでいます。仕事はコピーライター、プランナー、PR。
都内から房総に移住し、山恋しくて、今は丹沢の山並み見える神奈川にUターン。

ジムニー(JB23)をキャンプと林道専用の遊び車として愛用中。

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クラブネイチャーは、山とシンプルキャンプスタイルのためのアウトドアBlog

山の怪談 | キスリングを背負ったトンネル内の黄色い人影

トンネル
怪談CLUB 其の十三


昔、キスリングという帆布で作られた黄色っぽい色をしたザックが主流だった頃がある。

現在主流である縦長のアタック型のザックとは対照的に、キスリングはでかい本体の左右にこれまた大きなサイドポケットが張り出すように付いている。ボクはキスリングの歴史など知らないけれど、なぜこれが登山の主流になったのか、今でも不思議でならない。

ボクはすぐにこのキスリングに見切りをつけて16歳のときにカリマーの紫色のアタックザック“ハストンバロット”を手に入れ、これ以後、ほとんどアタックザックばかりを使用している。キスリングは世界共通なのか、はたまた日本独自の進化を遂げたザックのスタイルだったのか・・・

ともあれ、現在は隅に追いやられてしまったキスリングは、かつての黎明期には多くの岳人の背にしっかりと背負われていたのを当時の写真に見ることができる。こんな写真ばかりを見ていると、不思議とキスリングが背負いたくなるのだから、つくずく自分は天邪鬼なんだなと呆れる。

さて、今からおよそ10年すこし前のこと。それ以前に母が「また上高地に行きたいわね」と、独り言のように呟いていたのを何度か聞いていて、なぜかそんなことを仕事の合間にふと思い出してしまった。いつもなら懐かしい情景としてすぐに脳裏から消え去ってしまうのだけれど、そのときばかりはちょっと違った。

なんどもその想い出を振り払おうとするのだけれど、どんどん鮮明に思い出され、ついには脳裏から消えなくなってしまったのだ。これは・・・虫の知らせとでも言えばいいのだろうか。このときのボクは、夏にどうしても母を上高地、どうせなら涸沢岳あたりまで連れていかなければならないような、うまく説明できないけれど、そうしなければならないという使命感のような衝動に突き動かされて、妻と二人で母を伴って上高地入りした。


一泊目は村営・徳沢ロッジで、夕食が終わり部屋で翌朝の涸沢岳に備え早めに消灯。夜中に何かの気配で目を覚ますと、母がお腹を押さえて布団の上にうずくまっていた。理由をたずねると「お腹が痛む」ということだった。薬を探し母に渡すと、どうやらいつものことらしく、我慢していればじきに直るのだと言うと、心配かけてごめんねと何度も小声で謝る姿がとても寂しくてたまらなかった。

翌朝、涸沢ロッジで作ってもらったお弁当を持って気持ちのいい道を三人でのんびりと歩けばほどなく涸沢に到着。ちょっと小休止したあと最後ひと登りで目的の穂高小屋に着いた。結局、この小屋でも食後の腹痛は母を襲った。翌朝、ボクは腹痛を考慮して“おかゆ”の朝食を作り母に食べさせた。

下山の道すがら、母は、夜中に独りで眺めた星空が、今まで見たどんな星空よりも美しかったのだと話してくれた。きっと、夜中に腹痛が襲い、ひとり痛みをこらえて夜空を眺めていたに違いないのに、そんなことを一言も漏らさず母は朗らかに笑っていた。

ボクらは上高地からバスに乗り、いちばん上高地寄りの駐車場で下車。そこで自家用車に乗り換えて帰路についた。

お盆休みより一足早い夏休みだったのだけれど、渋滞で断続的にのろのろ運転が続いた。そして歩くような速度で古さを感じるトンネルに差しかかったときのことだった。後席の母が「あら、いまどきあんな格好で登る人いるのねぇ・・・私たちの若い頃みたい・・・」とつぶやいた。母は独身時代から登山をしており、ボクの誕生とともに山から遠ざかっていた。

ボクも妻も、母のその言葉には答えずに、スピーカーから流れるCDの音楽黙って聴いていた。車外はトンネルで、薄暗い灯りにてらてらと浮かび上がるのは車ばかりで誰一人歩いてなどいない。バックミラーで母を見ると、車外の反対車線の上の何かを目で追っていた。

「あんな格好って?」

なぜか、そのとき、無意識にそんな言葉がボクの口をついて出た。車内に聞こえた自分の声にはっとした。

母は・・・ほら昔の布の黄色っぽい大きなザックとヤッケと、あんたが高校の登山部だったときにはいていたツイードのニッカーズボン。まだあんな格好で登る人がいるのね・・・と、車外の向こう側を目で追いながら、そんなことを言った。

しかし、トンネルの向こう側には人などいなかった。

ボクは背筋にぞくりとしたものを感じて、その話は切り上げた。母がそのとき見ていたのは、冒頭で述べた黄色い帆布で作られたキスリングというザックを背負い、同じような帆布のアノラックを身にまとったニッカーボッカー姿の男だったのだ。どう考えても松涛明さんの遺書でもある「風雪のビバーク」の時代の格好としか思えず、ボクは、なんともいえぬ不吉で嫌な気持ちになった。

この日から数日後のこと。父から携帯に電話が入った。父の声はとても暗く、ぼそぼそと聞き取りにくかった。しかし、言葉の内容は聞き取れた。それによると、母の腹痛がひどかったため精密検査をしたところ大腸癌だったこと。そして、すでに手遅れで、余命は三ヶ月も無い、と宣告され、すぐに手術することになったことを父は震える声で伝えてきた。

ボクはそれに「そう」としか言えず、手術日を聞いて電話を切った。脳裏には、数日前に上高地のトンネルでの母の様子が蘇った。きっと死に近づいているから、あんなものが見えてしまったに違いない、と思った。

ボクは怪談話をここに書いてはいるが、安易に心霊というものを信じてはいないし、心霊スポットでバカ騒ぎするなんてもってのほかだと思っている。しかし知り合いには、昔から親しくしていただいている、世間で霊能者というジャンルに生きている人生の先輩がいた。

人間というものは、どうにも弱いもので、自分の力が及ばないときは神仏にもすがってしまう。ボクは、これまで、こういう霊的なことは避けていたのだけれど・・・藁をもつかむ思いで、政界・芸能界に幅広く交友関係を持つ彼女・Oさんに連絡をしてしまった。

彼女は、電話の向こうでしばらく無言になった「今ならまだ間に合うかもしれないわよ。すぐに病院に行きましょう」と強く言い放った。そして翌日の昼すぎ。ボクはOさんとJR駅で落ち合うとすぐさま母の病院へ向かった。

二日後の手術を控えた母と対面したOさんは、決して大げさで奇異なことなど何もせず、ただじっと母の目を覗き込み、手を握った。しばらくすると母は「熱い、熱い・・・」と言い出した。Oさんは、だいじょうぶ、だいじょうぶ、と母に優しい声をかけながら、じっと母を見つめ手を握り続けること1時間。母は汗びっしょりで横たわっていた。

こうして対面は終わり、この日の夜中のこと。

深夜に電話が鳴り、受話器の向こうから疲れきったOさんの声が聞こえた。Oさんは「もうだいじょぶよ。お母さんは死なないわ、だいじょぶよ」と息も絶え絶えに繰り返していた。理由を聞くと、今まで霊的な何かを執り行っていて、その過程で母の悪いものはすべてOさんの中に。それをつい今しがた激しい下血によって浄化してしまったのだという。Oさんは「これで・・・もう誰がなんといおうと・・・お母さんは、助かるから、だいじょうぶ」ときっぱりと言い切ってくれた。

まるで夢を見ているようだった。

そして翌日。母は数時間におよぶ手術を行い、10数年以上経過する今でも、ぴんぴんと元気に生きている。

このこと以降、ボクは母の寿命を察知してしまったかのように“・・・をしてあげたい”という気持ちが自分の中に突如として芽生えることへの言い知れぬ恐怖感を持つようになってしまった。同様に、山でふと感じる自分の直感で命を救われたことも何度かある。

ともあれこの上高地の一件以来、ボクは母を上高地には連れて行ってはいない。なぜなら、いつまた黄色いザックを背負った昔の登山者の姿をトンネルで見ないとも限らない、という気持ちがあるから。死期の迫った当人に見えるその登山者が歩いているトンネルが何番目なのかは・・・秘しておくことにする。

もしも入山時にトンネルで昔風の黄色っぽい登山者の姿を見てしまったら・・・ボクは登山計画を見直そうとするのか・・・今はまだよくわからない。

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Comment


うーむ。
映画「グリーンマイル」みたいなハナシですねえ。

これはワタシも、あの人生の汚点「釜トン」ウンコ事件を記事にしないと逝けませんナ(w
  • 2009/03/11(水) 13:39:40 |
  • ラード|URL
  • [編集]

★ラードさん★


その「人生の汚点事件」ぜひ知りたいです(^^;;
なんだかものすごそうですねw
  • 2009/03/11(水) 15:19:40 |
  • ユウ|URL
  • [編集]


キスリングを背負った方は二度見たことがあります。
もっとも古いザックも沢山見かけるし、如何にも昔のデザイン的な装備で歩かれている方を見るたび「かっこいいなぁ」と思ってます^^。

トンネルの写真は何かが写ってますが、何度見てもわかりません。
宙に浮いた車?宅配のバイク?(^^ゞ

  • 2009/03/11(水) 19:57:29 |
  • 横道|URL
  • [編集]

★横道さん★


これは、こちらに向かって来るトラックだったと・・・
手ぶれとそのほかで、意味不明の写真になっています(^^;;

キスリングは、高校の山岳部に置いてきてしまいました。それ以来、買ったことないです。昔の写真で背負っているキスリングを見るたびに、キャンバスに沁み込んだ汗とマナスルストーブの灯油の匂いを思い出します。
  • 2009/03/11(水) 20:14:12 |
  • ユウ|URL
  • [編集]


新宿のアルプス広場、思い出します。カニ族ですね。
僕も今は離れて暮らす母とは最近旅行に行ってなくて、何処かに連れて行ってあげようと考えていたところです。
近年旅行に一緒に行くと怪我をしたり、体調不良にみまわれたり...
なんかお祓いでもしてもらった方がいいのかなあ。


むむむ...
何かしらコメント残そうと思いつつ、なにか軽々しく書けず。。。
なにはともあれ母上の回復は何よりでした。
ドキドキしながら読みましたよ...フゥ
  • 2009/03/11(水) 22:01:33 |
  • いのうえ|URL
  • [編集]


>芽生えることへの言い知れぬ恐怖感
あります!

むしの知らせってのも、経験あります(^^;)
父、義理の両親、生まれたての息子と。。。
何か分からない、いてもたってもいられない気持ちになるんです。
やたらと目につく不吉なものが続いたり。。。
実は秋にもありまして、岡山に住む90になるお婆ちゃんがそろそろなんて話をしてた直後、奥さんでした。
でも奥さんに限っては生還(^^)v

小学校の林間学校用にと父親が買ってきたのが、そんなリュックでした。
クラスで1人だけ(^^;)
  • 2009/03/12(木) 00:22:58 |
  • monkichi88|URL
  • [編集]


いつもromってます.w
このトンネル、どこなのか気になりますよぉ
今後トンネルはいっさい脇目せず 前だけ見て通り過ぎることと決しました、ヌハハ
  • 2009/03/12(木) 07:32:34 |
  • fumi|URL
  • [編集]

★野宿屋ノブさん★


週末夜のアルプス広場、昔は活気がありましたよね~
いつもあそこに並んで、夜行列車待ちしてました。

> なんかお祓いでもしてもらった方がいいのかなあ。

お祓いは気分の問題だと思うのですが、気持ち的にすがすがしい気分になれるのがいいですよね。神社で気持ちを込めて拍手を叩く、その音に包まれるだけでも、気分がせいせいしますし(^^
  • 2009/03/12(木) 09:22:43 |
  • ユウ|URL
  • [編集]

★いのうえさん★


> 何かしらコメント残そうと思いつつ、なにか軽々しく書けず。。。

ぬふふ。
これ怪談CLUBなので、そんなに重くないので、軽々しく書いちゃってください(笑
でも、作り話ではないです(^^;;

いまだに、上高地の星空の話を時々するので、そのうちまた・・・とは思っているのですが、荷物はすべてボクのボッカになるので、それが少々辛いところ(^^;;
  • 2009/03/12(木) 09:25:55 |
  • ユウ|URL
  • [編集]

★monkichi88さん★


この微妙な気持ち、おわかりいただけますか!
いやぁ、うれしいです。

この虫の知らせ、っていうのも、どうも理屈であれこれ考えはするのですが、ロジック付けできないんですよね(^^;;

> 小学校の林間学校用にと父親が買ってきたのが、そんなリュックでした。
> クラスで1人だけ(^^;)

ひとりで本格派ってわけですね。
大きなのは嫌ですが、小さなキスリングは欲しいです♪

  • 2009/03/12(木) 09:29:56 |
  • ユウ|URL
  • [編集]

★fumiさん★


そういえば・・・スノーハイク、行かれたのですか(^^?
今のシーズンの上高地は、スノーハイクにうってつけです。

釜トンネルの徒歩通過も、なかなか味わい深いものあります。
だんだんと向こう側が明るくなって、最後は白銀のまぶしさに目をくらくらさせながら、トンネルを抜け出た瞬間の開放感、最高です♪
  • 2009/03/12(木) 09:33:42 |
  • ユウ|URL
  • [編集]
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