
積雪で、夏は腰まである柵が足元に・・・(クリックで拡大)霧ヶ峰というと、どうしても“
日本百名山”を著した深田久弥に思いを馳せてしまう。彼は百名山の霧ヶ峰の項目にこんなことを書いていた。
八島の近くに旧御射山(もとみさやま)という丘があって、鎌倉時代にはそこが国家的演場だったという。その丘が見物席で、今でも桟敷のような段々が幾筋もついていた。頼朝がここで狩座(かりくら)を催したことは、信ずべき古い記録に出ているそうである。
丘の附近の薮の中に小さな祠があった。それが諏訪明神の元だそうで、祠の前の細い流れの底から、大昔の土器のかけらを拾うことができた。霧ヶ峰は歴史的にもそういう古い土地なのである。広大な高原の東を大門街道、西を中仙道が区切っているが、おそらくその両街道の間の間道として、この山地を横切る細道が昔は利用されたのであろう。実際この広い地域には何でもあった。森林が見たければ、蝶々御山と物見山の按部の細道を辿って東側へ下れば、そこは樹木で覆われていた。沢が欲しければ東俣へ入ればいい。そこには清冽な流れが薄暗い谷底を流れていた。有名な諏訪の大祭の御神木は、この東俣御料地から伐り出されたのだそうである・・・云々

興味深い記述はまだまだあるけれど、それは次回、雪の八島湿原ハイキングに回すとして・・・今回は、最も美しい場所にかつて存在した懐かしの“
鎌ヶ池キャンプ場”を再訪してみた。ここは霧ヶ峰の美しい湿原、八島の真っ只中に存在する類まれなほど貴重な、美しいキャンプ場だったが、残念なことに環境保護という名のもとに2006年に閉鎖になってしまった。白神山地のように、そのうちハイカーも締め出されないとも限らない。
これは運営していた地元の農業組合にとっても残念な出来事だったことだろう。それまで連綿と続いてきた野焼きも全面禁止となり、これによって独特の景観と開放感を形成していた草原は、やがて木に覆われてしまうに違いない。

長い間鎌ヶ池キャンプ場を大切に利用させてもらっていた一ファンとして、懐かしい故郷のようなこの場所に行きたくてたまらなかった。蓼科の知人に会いに来たこのチャンスを利用して、ボクは奥さんを連れ立って八島湿原の真ん中にある鎌ヶ池キャンプ場に足を向けることにした。画像は夏のもので、テントは最近ではmoss同様にほとんど出番のない
スノーピークのランドブリーズ。
さて、八島湿原は春夏秋冬、四季それぞれ違った顔を見せてくれる。おかげで季節を問わず、いつ辿っても楽しいし気持ちいい。特に雪の季節の湿原は、見渡す限りの晴れ晴れとした雪原を心行くまで堪能させてくれる。晴天であれば、ポカポカと暖かい陽ざしのなか、風も穏やかで昼寝でもしたくなってしまうほど。
周囲のルートはスノーシューでももちろん楽しいけれど
クロスカントリースキーが気分いい。リズミカルに足を蹴りだしてスピードに乗れば、それこそスノーシュー特有のザクザクというような耳障りな音もなく、爽快な風音だけを友に無音でツーリングが楽しめる。来年の今頃は、ぜひクロカンスキーで散策したい。

雪原の中を行くと、ぽつんと鎌ヶ池キャンプ場の施設がまだ残されていた。夏場、清水を利用した水道からざあざあと清冽な天然水が流されていた場所は音もなく閉ざされている。ボクはかつて水場であったこの建物のガラスに写った自分をパシャ。おそらく現在は農業のための施設として夏場は機能しているのかもしれない。
懐かしいキャンプ場で雪から出ている岩に腰掛け、
ランチすることにした。この岩は雪が無ければ子供の背丈ほどもある。この日は丸一日、予定なし。どうにでもできるという贅沢な時間の使い方ができる。ボクは奥さんとともに小一時間ほどかけて、ゆっくりとランチを楽しむ。

雪山もいいけれど、こうした穏やかな雪原は小さな
子供連れでも安心して楽しめるのがいい。それにすぐ近くまで車でアプローチできるので気軽さもマル。ここにタープを張って、のんびりとランチクッキングを楽しんだり、雪遊びしたりなんていう半日を過ごすのもきっと楽しいだろうな。
それに・・・この場所にはボクら以外、誰の足跡もなかった。アプローチは八島園地駐車場から八島湿原の周遊ルートへ。キャンプ場方面。
◆スノーハイクコース:鎌ケ池キャンプ場跡地
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地図はこちら※空撮画像に切り替えるとキャンプ場が見られます。
◆
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テーマ:アウトドア - ジャンル:趣味・実用
ワタシは今夏、「カヤノ平」に張ってみたいと思ってます。でも遠いから、やっぱり行かないんだろうけど…。
百名山は、いま記事を書いていて、一瞬ギクリとしましたが、趣旨は違うから安心しました(w