
ヨーロッパの登山靴はアッパーもソールも非常にハードだ。それは、そのままヨーロッパの登山スタイルそのもので、岩石の折り重なった急峻な傾斜を登り、ときには三点支持など手足をフルに使って登るスタイル。
(画像はDanner)
しかし、マウンテントレイルをのんびり歩くバックパッキングには、こんなハードな靴は不要だ。重いザックを背負うのなら話は別だけれど、たとえば20キロ未満程度のバックパックでのんびりマイペースで歩くのであれば、ほどほどに柔らかなアッパーとソールの靴が気持ちいい。
長く付き合いたいし藪などを歩くかもしれないので、できればゴアなどのファブリックを使用していない、昔ながらのシームレスの一枚革が理想。
これなら茂みの小枝や藪の棘などに引っかかっても切れたりしない。丁寧にメンテナンスすれば、ソールを何度でも張り替えて、バックパッキング人生を共に歩むことができる。そんな靴をボクが選ぶとしたら・・・
Dannerのマウンテントレイル(あるいはライト)なんかが最高だ・・・
少年時代、ハイキング用にと
Dannerを誕生日プレゼントとして買ってもらった記憶がある。結局、一年ほどで足のサイズが大きくなって履けなくなり、しぶしぶ弟へ。しかし履けば履くほど足に馴染むDannerの気持ちよさと、これからというときに弟の手に渡った悔しさが忘れられず、はじめての登山靴に、ヨーロッパブランドでありながら、当時どことなくDannerチックだった“
ノルディカ”の裏革使用の登山靴を選んだ。これは、水道橋の“
さかいや”で、傷物として売られていたのを安く手に入れた。
裏革を使用した登山靴というのは、使用する前にKIWIなどの保革油を指にとって塗りこみぴかぴかに黒光りさせるという重要な儀式が待っていた。
指を使用することで体温で油が溶けて塗りやすくなる。全体に均一に塗りこむというのではなく、柔らかくしたくない場所は微妙に量を加減する。さらにソールの縫い目から指1本の範囲は塗らない。ソールの縫い目に塗ってしまうと縫い目が緩んで悪天候時の登山の際に水が入ってしまう。
柔らかくしたい場所には保革油とは別にミンクオイルを部分的に使用したりするけれど、これをやりすぎると、履くうちに皮がふにゃふにゃになってしまってどうしようもなくなる。もしもこの靴を冬使うとなると、柔らなくなった革にアイゼンバンドが食い込んで凍傷になってしまう危険もあるので注意しながら塗ったもの。
こうして全体に油を塗り込んだら、カメノコたわしでがしがしとブラッシング。すると
全体がぴっかぴか飴色に光りはじめる。ダッチオーブンのシーズニングのようなもの。
ソールの縫い目には松脂のペーストを塗りこむ。しかしこれは皮革登山靴での話で、現在愛用している
ケイランドのギオーブやケブラー系ハイテク登山靴ではほとんど何もしていない。
まあDannerにはこんな儀式は必要ないけれど、それでもスプレーくらいは入念に吹いておいたほうがいい。

かつてのアメリカでは登山黎明期の日本同様に登山靴はヨーロッパから輸入されていた。しかし高くて険しい岩山を想定したヨーロッパの登山靴はアッパーもソールも硬く、アメリカの穏やかな山や森にまったく適していない。そこでこうした気持ちのいいマウンテントレイルを“のんびり歩く”バックパッキング用に生み出されたのがDannerのマウンテントレイル。
アッパーもソールもソフトで、コバが広いため
接地面積が大きくて安定して歩ける。安定して歩けるのだけれど、見た目にスリムに見える
洗練されたデザイン。皮革はフルグレインオイルドレザーで、アッパーに並ぶ紐通しは伝統のDリング。ソールに至っては、通常のトレッキング用に開発され、昨今の多くのトレッキングシューズで使われている
ビブラムカーメンソールではなく、下りでもがっちりとグリップ力を維持してくれる、昔ながらの伝統あるビブラムラギットソールを進化させた、本格
ビブラムクレッターソールを採用。

先端形状は違いますが、左から、ラギットソール、クレッターソール、カーメンソールアメリカのハイキングブーツのスタンダードなこのモデルは、2003年に復刻されて日本限定で発売された。現在手に入れることができるとは聞くけれど、探せども見当たらない。
これは登山ではなく、あくまでもバックパッキング(ワンダーフォーゲルあるいはトレッキング)だけれど、Danner以外であれば・・・・
Garivier(ガリヴィエール)AVORIAZが好きだ。とにかく長く付き合うためにファブリックを使用していない一枚革の、ソールは張替え可能な縫製もので、かつアッパーもソールも硬すぎず、いつまでも色褪せないシューズがベストだと思う。
街でよく見かけれけるれど・・・こんな素敵な靴、街だけで履くなんてもったいない。
・・・いや、もしかしたら山だけで履くなんてもったいない、なんていうのかもしれない(^^;;

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なんと3万円台とは・・・ネット最安かもしれないです。
セールなので一時的ですけれど(^^;
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春頃にハイカットのしっかりしたモノを購入したいと思っていたので参考になります。
他にもシューズ選びのポイントがあれば教えてください。