
JAPANESE STYLE-13
信州の山間の郵便局
信州の山間の村を歩いているとき、思わず目に飛び込んできた建物があった。
遠目から見て、ややピンク色がかった朱鷺(とき)色の建物は、
長崎で見かける洋館とそっくりだ。最初は「教会かな?」と思ってしまった。戦前に建てられたキリスト教会の多くは、このような和洋折衷の洋館建築が多く見られる。
こうした古い洋館には、日本の伝統を受け継ぐ大工職人の手になる洋風建築物ならではの気品と様式美が息づいている。郵便局といえば地域の名士が担ったものだ、という話を聞いたことがある。もしかしたら名士ゆえの財力で洋風の建物を大工職人に依頼したのかもしれない。
房総に残る、古い時代の学習院初等科の建物や教会もこんな情感豊かな気配を醸している。竹久夢二の時代を僕は知らないけれど、たとえば大正ロマンとか、もっと遡った明治の洋館などに通じる、懐かしさがある。
これが現在の洋館だとこんな独特の気配など漂ってはこない。これは知人の建築家に聞いたことだが、メートル法ではなく”
尺貫法”でデザインすると、それだけで独特の気配が生まれる、という。実際に計測したわけではないからなんともいえないが、もしかしたらこの郵便局は尺貫法でデザインされた洋館なのかもしれない。

いま現在、使われているのか、いないのか。扉は堅く閉ざされていて人の気配はない。
誰かに話を聞こうにも、いつまで突っ立っていても誰一人通りかからなかった。二階の壁面の郵便マークが、どことなく十字架に見えてしまった。
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なぜ消えていくのでしょうかね(^^;)?
なんでもチャート式に納まるように規格化しようとする・・・
そろそろ反極点を迎えるべきではないかなぁと思う。
プロトタイプの家には住めません。
い~や住みたくないな(^^)!