記憶のかけら
アウトドアを続けていると、必ず一度や二度は恐ろしい体験というものに出くわすことになります。それをひとつひとつ、ここで書き上げていたらきりがなくなってしまうので、そのうちのひとつを・・・
これは、一般的に言われる“キャンプ場”ではなく、山のテント設営指定地での出来事。水場は沢水、トイレは山小屋まで歩きそこのを使用。オートキャンプを知ってしまった今考えれば、これはめちゃくちゃ不便。ここに設営したテントをベースにして、翌朝3時に出発。山を登り、午後2時にテントに帰着。
あー疲れた・・・と、ザックやらガチャと呼ばれるギア類をテントの横に。すかさずタオルを持って山の熊笹茂る斜面を10分以上も下った先にある沢で身体を洗いテントに戻る。「?」・・・見れば、テントから一筋の黒い線。凝視すると微妙に生きているように動いている。
なんと、それは蟻の行列だった。僕は不審に思い、適当に閉めていたテントの入り口を開けた。床に数匹の蟻がうろちょろしていた。すると・・・ポト、と蟻が上から落ちたではないか。ふと床から視線をあげたら
ぎょへ~~っ!
なんとテントの側面はもちろん、天井は蟻で真っ黒ではないか!!ごそごそと、天井が黒く覆われて動いている。ぞくぞくと鳥肌が立った。なぜか息を止めて必死にシュラフとマットをテントから出した。そしてすかさずペグを外すとテントを抱え離れた場所でワサワサと揺すり、中の山蟻を全てゴッソリと捨てさった。
すごいすごい・・・もう砂のようにテントから蟻がこぼれ落ちる。いったいこれはどうしたわけだったのか。まさか、テントを蟻の巣の上に立てたのか???よくわからぬまま、場所を移動。しかし、テントに籠もった蟻の酸っぱいような臭いが鼻について離れなかった。
蟻といえば、こんな話が・・・ 天武天皇の時代。唐の高宗が日本人の知恵を試すため七曲りの玉に糸を通せと難題を仕掛けてきた。これに対して、ひとりの翁が山蟻の腰に糸を結んで玉の入口に入れ、出口に蜂蜜を塗った。蟻は密の香りを慕って七曲りの玉を通り抜け、見事糸を通せた。翁は名も名乗らず、ただ『七曲りにまがれる玉の緒を貫きて蟻通しとは誰が知らずや』と歌を詠んで消えたため、神だろうということになり、この年、神号を蟻通とし志富田(渋田)荘の氏神として崇め祀った。
これは、高野山近くの
蟻通神社の縁起。テントには入り口がひとつしかなかったので、通り抜けられなかった、のかもしれない。というよりも、入り口はしっかりと閉めとけ、っていうことですね(^^;; しかし、今もってもなぜ蟻がテント内に侵入を企てたのか・・・謎のまま。
そういえば、よろしからぬ訪問客の筆頭はカラス、タヌキ、ハサミムシ。僕は夕食の和牛の肉を全てかカラスに持っていかれたこともある。それに、朝起きてみるとビニールに穴が開いていたり。こちらはハサミムシのしわざ。
ヨセミテなど熊が頻繁に出没するエリアでは、ビバーク時などにベアートラップとして食料は木の枝に吊るしたりするけれど、国内では何度か遭遇しただけで、熊の被害はいまのところなし。皆さんもテントに戻ったとき、思わぬ来客が訪問しているかもしれないので、くれぐれもご用心ご用心(^^;;
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恐怖は恐怖でも、怪談記事はコチラ ひひひひ※まだ引越し途中のため過去記事整理できていない場合があります。
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